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ご都合主義な官能小説
「こんな都合のいい話あるわけねーじゃん!」 「いいんです!そーいう小説なんですから!(力説)」www 基本的にハッピーエンドの官能小説を書いてます。 座右の銘は『ご都合主義万歳!』www

2006/08 | 12345678910111213141516171819202122232425262728293031

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 翌日。
 久留間探偵事務所の中では、所長の罪が頭を抱えて呻いていた。

「あったまいてぇ~・・・」
「はい、お水とお薬。罪さんお酒弱いのに、あんなに飲むからですよ」

 猟華が二日酔いの薬と、湯飲み茶碗に水を入れて罪の目の前に置いた。
 湯飲み茶碗には達筆な字で『万枚祈願』と書かれている。
 蜜巳がパチスロの景品で入手した物だ。
 この事務所の隣室は罪の住居でもあるのだが、そこには蜜巳が景品として入手した物があちこちにあったりする。
 スロット型貯金箱や、脂肪測定器付き体重計、パチンコ型の小型温冷蔵庫、エビやアンコウが描かれた壁掛け時計など。
 パチンコもパチスロもやらない罪にとって、やたらにカラフルで自己主張の強い物ばかりなのが少々不満だったりするのだが、折角取って来てくれた物を無下に断るのもなんなので使っている。
 なお、羽夜はその隣室でまだ眠りこけていた。

「・・・蜜巳に飲まされたんじゃないか、俺は悪くない」
「あ、そうでしたね。・・・我慢できないようなら、アルコール分“抜き”ましょうか?」
「いや、二日酔いごときでお前達の世話になるのもな。頼りすぎるのは良くない」

 二日酔いの薬を水で飲みながら、罪は小声で言う。

「ん、そうですね」

 猟華が微笑む。
 罪は猟華たち三人を自由に出来る絶対的な力を持っているが、それを使う事は滅多に無い。
 彼は分かっているのだ、堕落こそが自分にとって最大の敵だという事を。
 自らを律する強い心を持った罪だからこそ、自分達は彼と契約を結んだのだ。
 それは、猟華も他の二人も罪と出会ってから幾度となく感じた事だった。

「蜜巳は“見つけた”かな?」罪が眉間の辺りを指で押さえながら聞いた。
「あ、加奈子さんの住んでいた部屋の中の“残念”を拾って、それを辿っていったら正に真由美さんが突き止めた三人の家に行き当たりました。今、そこから更に辿って逃走先に向かっています」
「早目に見つかりそうなのはいいとして・・・問題は真由美さんか。まずい事考えていそうだよなぁ」
「ん、そうですけど、私がフォロー入れますから」
「そうだな、頼むわ」

 座っていた椅子をクルリと回し、罪は窓の外に目をやる。
 真夏の日差しに容赦なく照らされた街並みは、陽炎の中に揺らめいていた。

テーマ:官能小説 - ジャンル:アダルト