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ご都合主義な官能小説
「こんな都合のいい話あるわけねーじゃん!」 「いいんです!そーいう小説なんですから!(力説)」www 基本的にハッピーエンドの官能小説を書いてます。 座右の銘は『ご都合主義万歳!』www

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 猟華と真由美は、蜜巳が宿泊しているビジネスホテルの部屋で蜜巳と顔を会わせた。
 蜜巳は彼女達が来るまでの間に、ターゲットである三人の行動を監視していた。そうして得た調査結果を真由美に報告する為だ。
 なお、羽夜はここには居ない。
 出発直前に罪がある情報を掴み、羽夜をそっちの方に向かわせた為だ。
 その為、羽夜の存在を真由美は知らないままである。

「シンって奴はもっぱらマンガ喫茶に入り浸ってるわ、そのまま泊まっちゃう事もあるみたい。トウゴって奴はそのマンスリーマンションでネット三昧で、あまり外に出て来ないわね。ヒロってのは・・・パチスロばっかり打ちに行ってるわ、よく行く店は突き止めたから」
「え、パチスロ?クスクス、蜜巳さんみたいですね」

 猟華がおかしそうに笑いながら言う。

「一緒にしないでよ~。こいつはね、店の弱みを握ってるらしいのよ。それで、出る台の情報を予め手に入れてるの」
「もしや、店の弱みというのは、警察の父親が協力しているのでは・・・?」

 真由美が真剣な顔で蜜巳に聞く。

「おそらく、そうでしょう。一介の若者がそんな情報を仕入れる事は、まず無理でしょうし」
「警察の者が犯罪に加担するなんて・・・」
「いつの時代でも、情けないバカってのはいるものです」蜜巳はそう言いながら鼻で笑った。
「その他の調査結果はこの封筒の中に入っています。これをどう使うかは、河井さん、あなたの自由です」
「・・・ええ、よく考えて使う事にします。では、これはお約束の報酬です、お確かめください」

 真由美から渡された封筒の中身は現金だ。猟華が中身を確認する。

「あ、では、失礼して・・・はい、確かにお受け取りしました」
「それでは、私はこれで失礼します」
「あ、河井さん」

 立ち上がり、部屋を出ようとする真由美を猟華が呼び止めた。

「はい?」
「くれぐれも、無茶な事はしないで下さいね・・・」
「・・・ええ、大丈夫よ。ありがとう猟華さん」

 心配そうに言う猟華に、真由美は微笑で返した
 猟華は、その笑顔の裏の決意を感じ取っていた。
 そして、五日目の夜。
 問題の三人がいるマンスリーマンションの入り口に、真由美の姿があった。
 マンションを見上げながら、彼女は蜜巳からの情報を思い出していた。

(ごめんなさい猟華さん・・・。私、どうしてもこいつらを許せないの・・・!)

 今、部屋にいるのはトウゴと呼ばれている男だ。
 他の二人は昼間の内にパチンコ屋とマンガ喫茶に向かったのを確認済み。つまり、ターゲットは一人だけの筈だ。
 バッグの中に忍ばせたスタンガンを握り締め、真由美はマンションに入ろうとした。

「俺らに用か?」
「!?」

 入る直前、後ろから声が掛かった。
 振り向こうとした瞬間に鳩尾に激痛が走り、次に口にハンカチの様な布が押し付けられる。
 しまった、と思った時には遅く、真由美の意識は遠のいていった。


 次に真由美が目を覚ましたとき、彼女は下着姿にされた上に両手両足をベッドに縛り付けられ、自由を奪われていた。
 顔を動かすと、部屋には三人の男がいた。
 ヒロ、シン、トウゴだった。

「よう、お目覚めかい」
「あ・・・あなた達・・・!?」

 どうやら、ここは例の三人のいるマンションの一室のようだ。

「河井真由美さん、か。まさかこんなとこまで追っかけてくるとはなぁ、ご苦労なこったぜ、ヒャハハ!」
「バッグにゃスタンガンに、ガムテープ、ロープ、ナイフ・・・。はっ、こんなもん使って俺らをどうするつもりだったんだかな」
「妹の敵討ちするつもりだったんだろうよ。でも残念だったなぁ。暫く前からアンタが嗅ぎまわっていたのは、とっくにお見通しだったのさ。昼間、後をつけてたろ?バレバレだよ、バ~カ」
「くっ・・・!」

 真由美は何も出来ないままに、虜の身になったのをようやく悟った。
 体に力を込めるが、手足はビクともしない。よく見れば、拘束に使われているロープは自分が用意していた物だ。

「あなた達っ!やっぱりあなた達が加奈子を襲ったのね!!よくもっ!!」
「うるせーよ」

 シンの目がすうっと細くなる。
 真由美の顔を、彼の右拳が容赦なく殴りつけた。
 目の前が一瞬暗くなり、口の中に血の味が広がっていく。

「ぐぅっ!!・・・あ・・・ぐぅ・・・!」
「おいおい、これから楽しもうってのに、ホラーな顔にすんなよ」トウゴがうんざりした顔で言う。
「こーいう、うるせークソ女は殴って大人しくさせちまえばいいんだよ、ヒャハハハ!」

 更に二発、三発と真由美の顔を殴りつける。
 シンの顔は嬉しそうに、楽しそうに笑っていた。

「ぐぶっ!!・・・ぎぅっ!!あぐっ!!」

「はーい、その辺にしとけよ。ワザワザ道具まで用意して持って来てくれたんだ、じっくり楽しもうぜ」

 ヒロがシンの肩を叩いて止めた。
 真由美の顔は腫れ、右目のまぶたはゆっくりと膨れていき、鼻血は両方の穴から流れ出てきていた。

「う・・・ぐ・・・。ち、ちく・・・しょう・・・!よくも・・・かな、こ、を・・・!」

 勢い込んで加奈子の仇を討ちに来たというのに、何も出来ずにこのザマとは!
 自分の迂闊さに腹が立ち、痛みからではなく、悔しさから涙が溢れていく。
 だが、真由美はまだ諦めてはいなかった。
 自分はこのまま手酷い陵辱を受けるだろう。そう、加奈子がされたように。
 でも、そのままでは終わらない、終わらせない。
 こいつらが油断して戒めを解くときがきっと来る。その時こそ、必ず一矢報いてやる・・・!

「なぁアンタ、まだ諦めてねぇって顔してんな?」
「くっ・・・。犯したいなら・・・さっさとしなさいよ・・・」
「ヒャハハ、元気がいいな。・・・でもよ、アンタはもう“帰れ”ねーよ」
「・・・どういう、事よ・・・・?」
「俺らの事調べたんだろ?だったら、行方不明になった女の事も聞いたことあんだろ?」
「まさか・・・こ、殺したの・・・!?」
「・・・・・・・・・」

 三人が無言でニヤニヤ笑う。
 恐怖から叫びそうになった時、真由美の口にハンカチが詰め込まれ、その上からガムテープで蓋をされた。

「ムゥ・・・ングゥ・・・!!」
「死体はどうしたと思う・・・?俺の親父が建築会社の社長ってのは知ってるよな?マンションとかの基礎工事の時に、出稼ぎに来てる外国人にとかに命令して脇にちょいと穴を掘らせておくんだ。後は夜のうちに俺らが自分で埋めちまう。工事が終われば、もうバレっこねぇって訳さ」

 トウゴが震える真由美に顔を寄せ、乳房を優しく揉みながら静かに言った。
 真由美は、彼の目に宿るおぞましいモノに気がついた。

「今までに殺っちまったのは三人、アンタは四人目になるって訳さ。ヒャハハハ!」
「それまで楽しませてもらうぜ。生きてるのが嫌になるくらい、犯して犯して犯し続けてやるからよ」

 シンの目にも、ヒロの目にも“それ”は宿っていた。
 面白そうにニヤニヤ笑う三人を見つめ、理解した。
 “それ”とはすなわち・・・“狂気”だ。
 三人は真由美を怯えさせる為に嘘を言っている訳ではない、直感でそう分かった。

「とりあえず・・・腹が減ったな、メシ食ってからにするか?」
「そうだな」
「コンビニ行って弁当買ってくるか。・・・じゃ、その間は眠ってて貰うぜ」

 再び薬品の染み込んだハンカチをヒロに押し当てられ、真由美の意識は遠のいていった。

(加奈子・・・!ゴメン・・・!!)

 その悔しさも悲しさも、闇の中に沈み、消える。
 真由美の流した涙だけが、その悔しさと悲しさを語っていた。


 真由美が三人組に捕まり、二度目に眠らされてしまった頃。
 羽夜は罪の命令で、ある男達を見張っていた。

「むぅ~・・・お腹すいたな・・・」

 夕食を食べてから大して時間は経っていないのだが、悲しそうな顔でお腹を触りながら呟く。
 ここは都内にある、政財界の有名人も出入りする超が付くほどの高級料亭だ。
 ここでヒロ、シン、トウゴの父親達が一同に会していたのである。
 罪は“ある筋”からその情報を掴み、羽夜に監視するように命じたのだ。

「さ、どうぞ」

 警察の幹部であるヒロの父親が、県会議員のシンの父親に酒を勧める。

「すまんね・・・。さて、今日集まってもらったのは例の自殺未遂をした加奈子とかいう娘の事だが」
「全く、毎度の事ながら厄介な事をしてくれるものですな我々の息子どもは」

 建築会社の社長、トウゴの父親が酒を飲みながら苦い表情で言った。

「まぁ、私達も共犯ですからな、文句を言っても始まりません。何でも、その女は精神病院に入院しているとか・・・」
「ああ、正気を取り戻して暴露される前に始末する他あるまい。私の知り合いの“組長”に頼んで工作してもらって、医療ミスで死んでもらう事にしよう」

 シンの父親がさらりと言う。

「いつも薬の取引を見逃しているんですからね、こういう時に役に立ってもらわんと」
「以前の女教師は金を積んで口封じできましたが、今回はそうはいきそうに無いですな」
「あの時は、女の父親がガンで、延命療法に金が掛かるというつけ込み口があったからな・・・」
「姉の方が色々と嗅ぎまわっているようだが」
「その女の方は、我々で可愛がるとしませんか?」
「いいですな!久しぶりです。後始末はいつも通り、お任せください」
「前回の女はやり過ぎてすぐに死なせてしまいましたからな、今度はじっくりといきましょう・・・」

(うわ~・・・ボクも色んな人間を見てきたけど、ここまでの悪党はそうは居なかったな~)

 一流の料理を味わい、高級な酒を飲み、談笑しながら殺人の相談をする男たち・・・。
 彼らを見つめながら、羽夜は眉をしかめて心の中で呟いた。
 ところで、羽夜はどこから見張っているのかというと。
 なんと、部屋の中である。
 しかも、三人が囲んでいる机の片隅に陣取り、両手で頬杖をつきながら話を聞いているのだ。
 時折、目の前に並んだ豪勢な食事をつまみ食いしているというのに、男達は全く気付いていない。
 昆虫の中には、体を木の葉や枝に体を擬態して身を守る能力を持っているものがいる。
 それと似ているが、羽夜の場合は存在そのものが空間に溶け込み、彼女がここに“居る”と認識できないのだ。
 男達には羽夜の姿が見えてはいる。が、それが羽夜という少女と認識できない・・・。
 目で捉えた映像が脳に達する前に、映像の情報が“書き換えられて”消滅しているといった所か。
 男達の話が、過去に陵辱し、始末した女性達の事を楽しそうに話すにつけ、羽夜の表情が段々と不機嫌なものになっていく。

(腹立つなぁ・・・。こいつら人間やってる資格無いよ・・・!)

 怒りを露にする羽夜の脳裏に、猟華の声が聞こえてきた。
 耳にではなく、脳に直接声が届いている。テレパシーの様なものだ。

(あ、羽夜、聞こえる?)
(猟華ちゃん?聞こえてるよ~)
(ん、真由美さんが例の三人に捕まっちゃいました。私は彼女と同じ部屋にいます)

 猟華は真由美の捕らえられている部屋にいるという。
 マンションの五階にある部屋に、何時、どうやって忍び込んだのか・・・。
 猟華にとっては、児戯にも等しい簡単な事なのだ。

(え~?嫌な予感してたけど・・・。罪ちゃんの予想が当たっちゃったね)
(よって、予定が少し早まりそうです。そっちは大丈夫ですか?)
(こっちはまだ大丈夫っぽいよ、楽しそうに酒盛りしてるから当分動かないと思う)
(ん、了解です。蜜巳さんはどうですか?)

 猟華の呼びかけに、蜜巳の声が会話に加わった。

(こっちも準備いいよ!例の三人、今コンビニから出てきた所だよ。んふふふ、どいつから搾り取ってやろうかな~♪)
(あ、蜜巳さんの割り当ては一人だけですよ)

 一瞬の静寂。

(なーんでぇぇぇぇ!?どーしてよぉぉぉ!!猟華だけで二人も頂いちゃおうっての!?おーぼーだぁぁ!!)
(え、蜜巳さん、“つまみ食い”したの忘れてませんよね?)
(くぁswでrftgyhじゅいk!?)

 焦りまくった蜜巳の声が、訳の分からないノイズで乱された。

(な、ななななに言っちゃてんのよぉ、猟華ちゃん?そ、そんな事して・・・)
(あ、嘘は駄目ですよ?ウ・ソ・は・・・ね?)
(う・・・)

 数日前に聞いたのと、同じ台詞を猟華が静かに言う。
 一瞬の静寂の後、蜜巳の心が折れた。

(ごめんなさい、一人食っちゃいました・・・)
(あ~、蜜巳ちゃんズル~い!)
(あうう、ごめんなさい、つい出来心で・・・。って、何で猟華には分かっちゃうのよぉ!?)
(ん、年の功・・・とだけ言っておきましょう)

 見た目は蜜巳の方が年上に見えるが、実際には猟華の方が遥かに年上なのである。

(うぅ~、かなわないなぁ・・・。あ、そろそろ三人が部屋に辿り着くわよ)
(ん、そのようですね。さ、そろそろ始めましょうか)
(オッケー)
(シクシク、りょ~かい・・・)

 シン達三人が部屋に入った時、部屋の中では猟華が待ち受けていた。その姿に驚いたシンが声を出す。

「だ、誰・・・!?」

 次の瞬間、彼らの背後の廊下に蜜巳が忽然と姿を現した。
 玄関のドアにはもちろん鍵が掛かっているのに、だ。

「はぁ~い、今晩はぁ~」

 蜜巳が陽気な笑顔を浮かべ、右手をヒラヒラさせながら声をかける。

「ア、アンタ、この間の!?」

 蜜巳を見て、ヒロが指を差しながら何か言いたそうに口をパクパクするが声が出ない。
 言葉が思いつかないのだ。
 彼ら三人とも、予想外の珍客に対応が出来なくなっていた。
 驚くと同時に、恐怖を感じて身を竦ませていたからだ。
 何故か・・・?
 猟華の瞳は血のような真紅に、蜜巳の瞳はメタリックな金色にそれぞれ輝き、三人を睨み付けていたからだ。
 さらに、二人から放たれている妖気の様な気配が、部屋の温度を下げているように感じられる。それとは逆に、男達の体は熱く火照っていく。
 その熱は下半身に集中し始め、意思とは無関係に性器に血液が流れ込み、勃起させていった。
 いまだ硬直している男達を無視するかのように、猟華と蜜巳は両手を広げて同時に叫んだ。

「ようこそ我ら淫魔の宴へ!!心を狂わせる淫靡な、身体を蕩かす淫惨な、魂が嬲られる淫蕩な、己が全てを代償にして味わう、欲望と快楽の地獄へようこそ!!」

 部屋の中に、“闇”が満ち、光が消えた。


 同時刻、羽夜も三人の父親達の前に“出現”していた。

「な、何だ、キミは!?」

 部屋の中に突然姿を現した羽夜に、談笑していた三人の男達は目を見張った。
 羽夜はそんな三人を見つめ、笑みを浮かべる。
 普段見せる春の日差しのような笑みではない、強者が自分よりも力の劣る者をいたぶる時に浮かべる、陰惨な笑みだ。
 そして、その瞳は青味がかった銀色に輝いていた。
 羽夜は両手を広げ、高らかに叫ぶ。

「ようこそ我ら淫魔の宴へ!!心を狂わせる淫靡な、身体を蕩かす淫惨な、魂が嬲られる淫蕩な、己が全てを代償にして味わう、欲望と快楽の地獄へようこそ!!」

 部屋の中に、“闇”が満ち、光が消えた。


 (5へ続く)

テーマ:官能小説 - ジャンル:アダルト

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