(通常時のベル確率が1/7.1・・・。ビッグ中のスイカとチェリーとの合算確率1/6.9・・・。ボーナスの合成確率が1/194・・・。うん、ほぼ設定五か六に間違いないね!)
あたしは携帯アプリで出た算出結果に満足して、思わず笑みをこぼしていた。
(さぁて、ブン回しますか! 今月の勝ち額プラス四十万ジャストまで、あと四万だしね!!)
「おーい、リイ」
出鼻を挫くように、スロ友達のアキが話しかけてきた。
「どーよ? 設定高そ?」
「ほい」
あたしは携帯アプリの画面を見せ、ニィ~っと口元に笑みを浮かべて見せた。
あたしは携帯アプリで出た算出結果に満足して、思わず笑みをこぼしていた。
(さぁて、ブン回しますか! 今月の勝ち額プラス四十万ジャストまで、あと四万だしね!!)
「おーい、リイ」
出鼻を挫くように、スロ友達のアキが話しかけてきた。
「どーよ? 設定高そ?」
「ほい」
あたしは携帯アプリの画面を見せ、ニィ~っと口元に笑みを浮かべて見せた。
「ん~? ・・・げ、こりゃアンタの読みが的中かぁ?」
「って事は、アキの方はスカ?」
「あ~、スカイラブの変更判別でスカったから、パトレイバーの据え置き狙ったけどこっちもダメっぽいわ。マーベルや2027も似たよーなもん」
「そっちのシマは回収モードっぽいって事? じゃあ今日のイベントの当たりはエヴァで間違いなさそうだね」
「まぁったく、リイは目押しは苦手だけど、“読み”だけはずば抜けてんだよねぇ。その感の鋭さを分けて欲しいわ」
溜め息交じりで肩をすくめたアキは、あたしの隣に座った。
「そこやるの? あんまり良さそうじゃ無かったよ?」
「あんたが出してるから、全然回って無いじゃん。まだ分かんないよ」
「この間もそんなこと言って、結局爆死・・・」
「じゃかぁしい・・・ん?」
アキが打ち始めて一回転目、チェリー出現。
うわ、アスカチャンス突入・・・ボーナス確定!?
「よっしゃ! お座り一発どころか、一回転じゃ!」
「あ、相変わらずの引きの強さ・・・」
「しかも赤七だよ~ん。嬉しいからバー揃えちゃおっと」
アキはパパパンッと無造作にボタンを押す。
するとあら不思議、レギュラー絵柄が揃ってプレミアムービーが流れ始めた。
あたしは思わず目が点になってしまう。
「ねえ、なんでそんな簡単にビタ押しできるわけ? 目玉がコンピュータになってるとか?」
「あたしゃどこかの探偵か。私は最初っから回転中の全絵柄の識別ができたからね、素質って奴?」
フフ~ンと、得意気に肩にかかった髪を払うアキ。
「どーせあたしは、ビッグ揃えるのにも苦戦するヘタレですよ~」
「アンタにゃアンタの武器があるじゃん。リイの“読み”のお蔭で凄い助かってるんだから。目押しは修行あるのみよ」
そんな事を話している内、私の台にも青七ビッグが来た!
「来たねぇ、それじゃお互い頑張りますか!」
「うん!」
私たちは笑みを交わしつつ、同時にビッグを消化し始めた。
あたしの名前は璃衣。瑠璃の“璃”に“衣”で“リイ”。
女だてらにパチスロでプロやってる。
なんでスロプロなんかに? と聞かれると・・・話すと結構長かったりする。
ある事情から、あたしは高校卒業と同時に一人で生きなくてはならなくなった。
すったもんだ有った後、あたしはある人に出会い、色んな意味で救われた。
その人は凄腕のスロプロだった。
その人を追いかけて、頑張ってパチスロを勉強して練習して、今では何とか一人で食っていける位の腕前に上達したのだ。
アキの方はれっきとした大学生。高校の時の友達で、時々遊びでスロを打っていた事からよくつるんで打つようになった。
そして、今日も一日が終わろうとしていた。
「三千枚か、上出来だね。投資一万でプラス五万! 今月プラス四十万突破!」
「私はやっとプラス五千円・・・とほほ。まぁ、負け分を回収しただけでも良しとするか」
夜七時に店から高設定コーナーの発表があり、やっぱりエヴァが対象機種だった。
あたしの読みが的中したわけだ。
もちろん、予想が毎回うまく当たる訳じゃないけどね。
「これからどうする?」
「データ取りしてから帰るよ、明日も勝負なんだから」
店を出ると、アキが聞いてきた。それにあっさり答えると、アキは不満そうに唇を尖らせた。
「ちぇー、奢ってくれるかと思ったのになー」
「プーにたかるなっての」
「じょーだんよ。ま、近いうちに飲もうよ。最近ご無沙汰だしさ」
「そうだね、今度の土曜なら開いてるよ。・・・? っ!!」
「決まりだね・・・どうしたの? ちょ、ちょっと何よ?」
あたしはアキの腕を掴むと、そのまま引っ張って別の道に入る。
あたし達の後ろを、馬鹿丸出しでゲラゲラ笑いながら数人の男が通り過ぎて行った。
「どうしたのよ、いきなり・・・。ちょっと、震えてんの!? 具合でも悪いの!?」
あたしの全身が拒否反応を示していた。
最悪だ。
吐き気がする。
なんで、あいつらがここに居るのよ!?
「・・・あいつらだ」
「“あいつら”?」
「今、通り過ぎて行った連中・・・」
震えるあたしの肩を抑えていたアキの手が、ピクリと反応した。
「まさか、中学の時の・・・?」
あたしは頷く。
それで全てを察してくれたアキは、あたしを大通りまで連れて行ってタクシーを拾ってくれた。
「大丈夫だよ、すぐにアンタのマンションまで連れてってやるから」
「・・・うん。ごめんねアキ、面倒かけて」
「バカだねぇ、なーに水臭いこと言ってんだか。気にすんなっての」
アキの笑顔に安心した私は、アキの肩に頭を預けて心を落ち着けようとした。
・・・ダメだ。
一度思い出した記憶は、イヤでも甦ってきた。
忘れていたのに。
やっと、夢にも見なくなったのに。
どうして今になって、あいつらがあたしの前に現れるのよ!?
中学生の時、あたしをよってたかってレイプしたあいつらが!!
(2へ続く)
あとがき
久しぶりに、スロッターが主人公のお話の始まりです。
主人公のリイは、今までかなーり重たい人生を歩んできています。
彼女を支えるであろう男どもは数人登場する予定ですが、最終的に彼女が選ぶ人物はまだ未定の段階です。
この辺はキャラクターの動き次第・・・つまり、今の段階では私にも分からなかったりしますw
リイを最後に幸せにするのは誰なのか・・・のんびりとお付き合いください。
「って事は、アキの方はスカ?」
「あ~、スカイラブの変更判別でスカったから、パトレイバーの据え置き狙ったけどこっちもダメっぽいわ。マーベルや2027も似たよーなもん」
「そっちのシマは回収モードっぽいって事? じゃあ今日のイベントの当たりはエヴァで間違いなさそうだね」
「まぁったく、リイは目押しは苦手だけど、“読み”だけはずば抜けてんだよねぇ。その感の鋭さを分けて欲しいわ」
溜め息交じりで肩をすくめたアキは、あたしの隣に座った。
「そこやるの? あんまり良さそうじゃ無かったよ?」
「あんたが出してるから、全然回って無いじゃん。まだ分かんないよ」
「この間もそんなこと言って、結局爆死・・・」
「じゃかぁしい・・・ん?」
アキが打ち始めて一回転目、チェリー出現。
うわ、アスカチャンス突入・・・ボーナス確定!?
「よっしゃ! お座り一発どころか、一回転じゃ!」
「あ、相変わらずの引きの強さ・・・」
「しかも赤七だよ~ん。嬉しいからバー揃えちゃおっと」
アキはパパパンッと無造作にボタンを押す。
するとあら不思議、レギュラー絵柄が揃ってプレミアムービーが流れ始めた。
あたしは思わず目が点になってしまう。
「ねえ、なんでそんな簡単にビタ押しできるわけ? 目玉がコンピュータになってるとか?」
「あたしゃどこかの探偵か。私は最初っから回転中の全絵柄の識別ができたからね、素質って奴?」
フフ~ンと、得意気に肩にかかった髪を払うアキ。
「どーせあたしは、ビッグ揃えるのにも苦戦するヘタレですよ~」
「アンタにゃアンタの武器があるじゃん。リイの“読み”のお蔭で凄い助かってるんだから。目押しは修行あるのみよ」
そんな事を話している内、私の台にも青七ビッグが来た!
「来たねぇ、それじゃお互い頑張りますか!」
「うん!」
私たちは笑みを交わしつつ、同時にビッグを消化し始めた。
あたしの名前は璃衣。瑠璃の“璃”に“衣”で“リイ”。
女だてらにパチスロでプロやってる。
なんでスロプロなんかに? と聞かれると・・・話すと結構長かったりする。
ある事情から、あたしは高校卒業と同時に一人で生きなくてはならなくなった。
すったもんだ有った後、あたしはある人に出会い、色んな意味で救われた。
その人は凄腕のスロプロだった。
その人を追いかけて、頑張ってパチスロを勉強して練習して、今では何とか一人で食っていける位の腕前に上達したのだ。
アキの方はれっきとした大学生。高校の時の友達で、時々遊びでスロを打っていた事からよくつるんで打つようになった。
そして、今日も一日が終わろうとしていた。
「三千枚か、上出来だね。投資一万でプラス五万! 今月プラス四十万突破!」
「私はやっとプラス五千円・・・とほほ。まぁ、負け分を回収しただけでも良しとするか」
夜七時に店から高設定コーナーの発表があり、やっぱりエヴァが対象機種だった。
あたしの読みが的中したわけだ。
もちろん、予想が毎回うまく当たる訳じゃないけどね。
「これからどうする?」
「データ取りしてから帰るよ、明日も勝負なんだから」
店を出ると、アキが聞いてきた。それにあっさり答えると、アキは不満そうに唇を尖らせた。
「ちぇー、奢ってくれるかと思ったのになー」
「プーにたかるなっての」
「じょーだんよ。ま、近いうちに飲もうよ。最近ご無沙汰だしさ」
「そうだね、今度の土曜なら開いてるよ。・・・? っ!!」
「決まりだね・・・どうしたの? ちょ、ちょっと何よ?」
あたしはアキの腕を掴むと、そのまま引っ張って別の道に入る。
あたし達の後ろを、馬鹿丸出しでゲラゲラ笑いながら数人の男が通り過ぎて行った。
「どうしたのよ、いきなり・・・。ちょっと、震えてんの!? 具合でも悪いの!?」
あたしの全身が拒否反応を示していた。
最悪だ。
吐き気がする。
なんで、あいつらがここに居るのよ!?
「・・・あいつらだ」
「“あいつら”?」
「今、通り過ぎて行った連中・・・」
震えるあたしの肩を抑えていたアキの手が、ピクリと反応した。
「まさか、中学の時の・・・?」
あたしは頷く。
それで全てを察してくれたアキは、あたしを大通りまで連れて行ってタクシーを拾ってくれた。
「大丈夫だよ、すぐにアンタのマンションまで連れてってやるから」
「・・・うん。ごめんねアキ、面倒かけて」
「バカだねぇ、なーに水臭いこと言ってんだか。気にすんなっての」
アキの笑顔に安心した私は、アキの肩に頭を預けて心を落ち着けようとした。
・・・ダメだ。
一度思い出した記憶は、イヤでも甦ってきた。
忘れていたのに。
やっと、夢にも見なくなったのに。
どうして今になって、あいつらがあたしの前に現れるのよ!?
中学生の時、あたしをよってたかってレイプしたあいつらが!!
(2へ続く)
あとがき
久しぶりに、スロッターが主人公のお話の始まりです。
主人公のリイは、今までかなーり重たい人生を歩んできています。
彼女を支えるであろう男どもは数人登場する予定ですが、最終的に彼女が選ぶ人物はまだ未定の段階です。
この辺はキャラクターの動き次第・・・つまり、今の段階では私にも分からなかったりしますw
リイを最後に幸せにするのは誰なのか・・・のんびりとお付き合いください。
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